Vol.7 もうキッチンに立つのは嫌…
そんな時は、旬の野菜の中華風焼きそば!

妊娠すると、いつも以上に健康に気を遣うもの。特に自分で作る時は、なるべく色々な食材を使って、バランスのよい献立にしたいと思うようになりますよね。

とはいえお腹が大きくなってくると、キッチンに立って作業をするのもしんどいもの。私も臨月のときは、キッチン台がお腹に当たり、料理がやりづらかった経験があり、極力手早くできて、栄養バランスのいい料理はないかと思っていました。

そこで、おすすめしたいのが中華風の焼きそば。春キャベツと、ライスヌードル・河粉(フェーフェン)をメインにした、野菜たっぷりの食感豊かな一皿です。

沙河粉河粉(フェーフェン) 春キャベツ春キャベツ

焼きそばといってもいろいろありますが、今回ご紹介するのは河粉(フェーフェン)、または沙河粉という、うるち米を原料にした乾燥麺。これは中国の南方、台湾、東南アジア一帯で日常的に食べられている麺で、小麦粉の麺よりも軽い食感。そばやパスタ同様、常備しておくと料理の幅が広がります。

合わせる食材は、春キャベツ、ニラ、もやし、海老、卵。まずは妊婦さんに役立つ代表的な栄養成分を見てみますと、

キャベツ・もやし:ビタミンC→鉄分の吸収を促進し、免疫力を高める
ニラ      :葉酸→胎児の発育、産後の母乳に必要
エビ・卵    :たんぱく質→胎児の臓器や血、筋肉をつくる

と、バランス良好。一方、薬膳の観点から見てみますと、キャベツは補気とよばれる、臓腑のはたらきを高める食材とされており、卵は養血安胎、すなわち妊娠時の胎動不安を解消する働きもあります。

また、味覚の面では、もちもちとした麺に、ぷりぷりの海老、ふわふわの卵と、シャキシャキのキャベツ&もやしという食感が一度に楽しめるのもいいところ。味の濃いソース焼きそばとは違った、春らしい軽やかなひと皿をお楽しみください。

时蔬炒河粉(季節野菜の中華風焼きそば)

(时蔬[shí shū]=季節の野菜 炒[chǎo]=炒める 河粉[hé fěn]=ライスヌードル)

【時 期】妊娠前期~産後期
【季 節】春3月4月
【注目栄養素】ビタミンC、葉酸、たんぱく質

 

レシピ(3名分)

春キャベツ  2枚分
ニラ  100g
もやし  150g
海老  殻付きの状態で150g(今回はブラックタイガーを使用)
 2個
沙河粉  乾燥の状態で200g
[調味料]
レモン汁  大さじ2
砂糖  大さじ2
ナンプラー  大さじ2
サラダ油  大さじ2
煎りピーナッツ  砕いたものをお好みで

 

■作り方

(1)ニラとキャベツは食べやすい大きさにカットし、調味料を合わせておきます。ボールに卵を割り、混ぜておきます。

(2)海老の下処理をします。殻をむき、竹串や楊枝などで背わたを取り除いたら、沸騰した湯に入れてサッと湯引きします。

殻をむいて背わたを取り… 沸騰した湯に入れて…
30秒間加熱したら… 下ゆで完成です

(3)大きめの鍋に湯を沸かし、沙河粉を約5分間ゆでます。麺が長いようであれば、ゆでる前に食べやすい大きさにカットしておきましょう。 沙河粉は乾燥している状態だと半透明ですが、ゆでると白に変わります。色を確認し、試食をしてみて、やわらかくなったらザルにあけ、水気を切っておきます。

鍋に入れ… ゆでるとかさが増えてきて…
色が白くなったら… ゆであがりです

(4)フライパンを熱し、油を多めに入れます。割った卵を流し入れ、手早くやわらかい煎り焼き卵を作り、取り出しておきます。


卵を流し入れ…


菜箸で大きくかき混ぜて…


半熟状態を菜箸でばらばらにし…


別皿に取り分けます

(5)大きく深めの鍋に油をひき、麺を炒めます。

(6)もやし、ニラ、キャベツを加え、全体がしんなりとするまで炒めます。


もやしを加え…


ニラとキャベツを加え…


全体がしんなりとしました

(7)煎り焼き卵と海老を加え入れ、軽く炒めたら、調味料で味を調えます。


煎り焼き卵を加え…


加熱済の海老を加え…


調味料を回し入れて…


全体がなじんだら完成です

(8)好みで砕きピーナッツを散らしたらできあがりです。

 

調理ワンポイント

海老をさらに丁寧に下処理する時は、片栗粉に塩、酒を少量加えたものを作り、むき海老をもみ込むと臭みが消えます。湯通しする時は、火を通しすぎると、硬く小さくなってしまうので注意しましょう。
麺を炒める時、ゆで上がってから時間をおくと、麺同士がくっついて混ぜにくくなりますので、ゆで置きしている麺を使うときは、軽くごま油などを絡めておくといいでしょう。
巻きがゆるく、葉が柔らかで甘みのある春キャベツは、厳密にいうと、冬のキャベツとは違う品種。ですが、ビタミンCの含有量に大きな差はありません。水分が多く含まれているため、手早く炒めることが肝心です。特に、キャベツは、芯の部分と、外側の濃い緑色の部分に多くビタミンCが含まれていますので、捨てずに使いましょう。

砕きピーナツの作り方

仕上げに砕きピーナツを散らすと、香ばしく食感も豊かになるのでおすすめです。煎りピーナッツの殻を除いて、二重にしたポリ袋に入れて麺棒で叩いて割ると失敗なくできます。

 

風水食としての时蔬炒河粉 ~ 邪気を浄化し、出会い&金運アップ

栄養的にも薬膳的にも、妊婦さんにうれしい时蔬炒河粉(旬の野菜の焼きそば)ですが、李家幽竹さんの『李家幽竹の幸運食風水』によると、ここで使用する食材は、風水面からも恩恵があるようです。

まず、キャベツには縁を結ぶ力があり、新しい人間関係をもたらしてくれる運が。海老はビューティー運があり、火を通すことによって出会いの運気をもたらすのだとか。さらに麺の原料となっているお米には悪い気を浄化してくれる効果あり、卵は心を豊かにし、金運を与えてくれる効果が期待できる…とのこと!

思い込みかもしれませんが、前向きな気持ちで料理に取り組み、おいしい一皿ができあがるなら、信じた方がトクかもしれませんね。


参考文献
『懷孕養身特効食譜』林禹宏・康鑑文化編輯部 2013年
『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』 講談社編 2013年 講談社
『乾物と保存食材事典』 星名桂治監修 2011年 誠文堂新光社
『最新版 妊娠大百科』 2012年 ベネッセコーポレーション
『李家幽竹の幸運食風水』 李家幽竹 2003年 主婦の友社

Text / Recipe / Photo 山田早苗