三合泥(サンフーニー)は、今から約70数年前、四川省成都で生まれた小吃(おやつ)。

料理名にある「泥」とは、中国料理の調理法で、素材をすりつぶしてペースト状にすること。直訳すると「三」種類の材料を「合」わせた「泥」で、言われてみれば納得ですね。

三合泥

暮らしに取り入れやすい医食同源の甘味

主な材料は、もち米、大豆、黒米、ごま、胡桃などの穀物やナッツですが、「中國菜 老四川 飄香」ではその中でも黒い食材をチョイス。

黒一色の見た目はインパクトがあるだけでなく、黒色の食材に含まれるポリフェノール、アントシアニンの抗酸化作用も期待でき、一石二鳥でもあります。

なにより嬉しいのは、手に入りやすい材料ででき、暮らしに取り入れやすい医食同源のおやつとして楽しめること。作り方を「飄香」の井桁良樹先生に教えていただきました。

黒×黒×黒!

主材料は、黒米50g、黒豆20g、黒胡麻15gと黒オンパレード。まず、一晩水に浸した黒米と黒豆を、15~20分ほどかけて弱火で煎ります。

粗熱が取れたら、別に煎っておいた黒胡麻と一緒にミルサーで粉状に。好みで黒豆を粗めにすると、食感の違いが楽しめます。

上品な風味の秘訣は三温糖と柑橘フレーバー

そこに加えるのは、三温糖50g、水280g、ココナッツオイル80g、水で戻して粗みじん切りにした陳皮8g。砂糖は“黒”繋がりで黒砂糖を使いたくなるところですが、ここは三温糖で。黒砂糖を使うと、少しくどくなってしまいます。

そして、甘さの中に爽やかさを添えるのが陳皮の役割。現地ではオレンジピールや冬瓜の砂糖漬けなども使われているため、好みでアレンジしてもいいでしょう。油脂はラードや鶏油を使うこともあります。

陳皮
陳皮

 

焦がさないよう火加減に注意

続いて、鍋にココナッツオイルを半量入れ、擂り潰した黒米・黒豆・黒胡麻の粉末、水、三温糖を加えて火にかけます。水分がなくなると焦げやすくなるので、火加減には十分注意しましょう。

とろみがついたら、陳皮と残りのココナッツオイルを加え、香りが立ってきたらできあがり。仕上げにローストした胡桃と、水で戻した枸杞をのせていただきます。

お子さまからお年寄りまで楽しめるおやつ

ちなみこの三合泥、「飄香」では、コースの途中に口直しとして出すことが多いそう。ペースト状になっているので、小さなお子さまからお年寄りまで安心していただけます。また、素材を変えて、自分好みの味を見つけるのも楽しいですね。

料理:井桁良樹(中國菜 老四川 飄香
撮影:2017年2月27日の古樹軒の料理教室にて
中国語料理名:椰油黒三合泥(yē yóu hēi sān hé ní / イェ ヨウ ヘイ サン フー ニー)
日本語料理名:飄香風三合泥(ピャオシャンふうサンフーニー)


参考文献:成都小吃(电子科技大学出版社 / 1993年発行 / 成都市烹饪协会 四川烹饪杂志编辑部编)
text 近江文代
photo 西田伸夫