マクドナルドが2014年5月7日から発売している新メニュー「マックチュロス」が、油条(ヨウティアオ)にそっくりだと評判です。

油条とは、ひと言でいうと中国式の揚げパン。粥や豆乳、豆腐脳(おぼろ豆腐に具やタレをかけたもの)と一緒に食べることが多く、中国や台湾では伝統的な朝食の一品。パッと買って手軽に食べるという点では、チャイニーズファーストフードともいえます。

山東省の聖地・泰山山頂で提供された朝食(豆漿(豆乳)×油条)
北京の街角の油条売り。

また、安くて早くてカロリーが高い、という視点でも、油条は現代のファーストフードとも親和性が高いもの。実際に、中国のケンタッキーフライドチキンでは、このような油条が販売されています。

上海の肯徳基(ケンタッキーフライドチキン)で提供していた粥×油条。

そして、日本のマクドナルドが売り出したマックチュロスがこちら。

日本のマクドナルドで購入したマックチュロス。

見た目は油条(ヨウティアオ)、気になる味は?

この類似性をいち早く話題にしたのは、やはり在日中国人のみなさんでした。ダイヤモンドオンラインに掲載している莫邦富さんの連載によると、発売前から話題になっていたようですね。

ちなみにこの存在を編集部が知ったのは、中国人のFacebookフレンドの投稿から。

マックチュロスの発売日である5月7日の投稿に「マックの油条を食べ過ぎて…」とのポストがあり、いったいどういうことかと尋ねると「マックの油条とスーパーで買ってきた無調整豆乳を食べました」というじゃありませんか。

まさかと思ってマクドナルドに買いに行ってみると、確かにこれは…。

袋の「HOT, CRISPY AND DELICIOUS」を直訳して「熱、脆、好吃」としても何の違和感もない!

あまりにも油条なので、お粥に入れようと刻んでみたところ、揚げたシュー皮のような断面もまるで油条でした。

では肝心の風味は?というと、極々控えめの塩味に、ほんのりとマクドナルドのアップルパイの油の香り。噛むと、空気をたっぷり含んだ「サクむは」の食感です。

あえて油条との違いを挙げるなら、油条は2本の生地をねじり合わせるようにして成形するのが多いところ、マックチュロスは真っ直ぐだというところ。(とはいえ、中国のケンタッキーではまっすぐなので、何ら問題ではありません)。

屯渓(安徽省)の長ーーーい油条。

マックチュロスは在日中国人をターゲットにした裏ローカライズメニューなのか?

それにしてもここまで油条っぽいと、開発段階で「これ油条だよね?」という意見もあったはず…と思えてきます。

なぜなら、多くの日本人は「チュロス」といえば東京ディズニーランドで売っている、長いドーナツ風の食べものをイメージするでしょう。これを見て「チュロス」と思うのは少数派です。

では、どうしてこうなったのか?

考えられるのは、68万7000人超の日本に住む中国人・台湾人のみなさんをターゲットに、日本マクドナルドが「マックチュロスという名目で油条を売ろう!」と思ったのではないか?ということ。

なぜなら見てみてください。日本マクドナルドのマックチュロスキャンペーンページに「毎日朝5:00~翌朝4:59」と書いてあるじゃありませんか。

これはやっぱり“朝マック=朝食の定番・油条”を意識したものと思わざるを得ないかと…。

狙いはどうあれ、このマックチュロス(1本159円)は、豆乳やお粥とともに食べても全く違和感のない一品です。むしろ今なら、日本ではなかなか味わえなかった、揚げたての油条が全国で味わえるチャンスかもしれません。


TEXT:佐藤貴子(ことばデザイン)
PHOTO:西田伸夫(古樹軒料理教室油条)、小杉勉(中国油条)、佐藤貴子(マックチュロス)