中華まな板

中華まな板

中国語表記:菜墩子
北京語読み:ツァィ ドゥン ズ
発音記号 :cài dūn zǐ

 

中国料理の調理器具の中において、一般家庭とプロの厨房で大きく形状の異なるものが中華まな板である。

中華おたま

【形状】

厚みのある円錐型をしているものが多く見られるが、これはもともと木を輪切りにして用いていたことに由来する。

現在普及しているものは、直径350mm~500mm、厚さ100mm~150mmが一般的。中国料理では、刃の大きな中華包丁で、骨付きの鶏や豚を叩き斬ったり、包丁を連打して肉をミンチにすることが少なくないため、衝撃で割れたり、位置がずれたりすることのないよう、これだけの厚みと重さが必要となっている。

【手入れ】

木の輪切りまな板を使用していた時代、中華まな板はその重量と大きさから、シンクで容易に洗うことができないため、表面の汚れ等は包丁で削り取って使用されてきた。
現在日本で流通している中華まな板の中でも、薄い層を重ねて作られた積層プラスチック製のものは、使い古されて傷んだ表面を1mm程はがしながら使用できるようになっているものがあり、木製時代の名残が感じられる。
参考までに、まな板専業メーカー・天領まな板株式会社の製品で、中華厨房で愛用されている積層プラスチック中華まな板 中(直径400mm×厚さ103mm)の重量は12.6kg。最高8回まで表面をはがして使うことができる。なお、特大サイズ(直径500mm×厚さ153mm)の重量は29.4kg。

【材質】

日本では食品衛生法により、営業上使用するものについては合成樹脂製または合成ゴム製のまな板でなければ使用できない。

【家庭用】

家庭などでも使われる一般的な薄い板状のまな板は、中国語で菜板(ツァイバン)、切菜板(チェツァイバン)、砧板(ジェンバン)と呼ばれる。

 


【まな板に関する熟語・故事成語】

 

砧板上的肉(ジェン バン シャン ダ ロウ):まな板の上の肉

日本語の「まな板の上の鯉」、すなわち、じたばたしてもしょうがなく、なされるがままの状態にあることを、中国では「まな板の上の肉」と言う。日本人的感覚では、肉は精肉された状態で販売されているため、まな板の上にあってもじたばたしようがないイメージであるが、市場から生きたままの鶏などを持ち帰って自分でさばくこともある、いかにも中国らしい表現である。

 

越俎代庖(えっそだいほう)[荘子]

【読み下し】俎(まな板)を越え、庖丁を代わる
【意味】自分の権限を超えて、でしゃばること。
【故事】中国の神話上の聖帝「三皇五帝」の一人である尭(ギョウ)が、伝説的聖者・許由(キョユウ)の清廉潔白な人格を聞き及び、彼に天下を譲ろうとした。しかし許由は「料理人が神への供物を作らなかったとしても、司祭が代わって料理をすることはできない。それと同じように、自分の分を超えたことを引き受けることはできない」と断ったという。
ここでの俎(まな板)とは、生け贄の供物を供える台のことのようである。まな板、包丁の両方が登場する故事成語として、中華料理好きなら覚えておきたいものである。[難易度:漢字検定一級レベル]


Research: Xiao Shan-Mian & Chuka Lovers(シャオ・シャンミェンと中華ラバーズ)